6. メリットがあるのは、提出する学生側だけではない 職員と教員にも恩恵が2017.08.08

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学習する側のメリットと同じように、教職員の側にも生徒や学生の人数分処理するためにこれまで必要だった手間や時間が省けるという便利さを超えるメリットがある。eポートフォリオ導入前にはできなかったことが可能になり、それを教育の質向上に活かせるという点では、教職員側のメリットも大きい。

ポートフォリオの導入によって、はじめて可能になることにスポットを当てて解説しよう。

ポートフォリオサービスがもたらす教育の質的向上

教職員にとっても、もちろん便利になるという点は非常に大きい。たとえば、レポート未提出の学生をリストアップし、未提出者全体に対する掲示を出し、各自に渡す提出を促すメモや票を作り、該当者に届ける。

同一クラスで授業を受けることが少なくなる大学や専門学校では、該当者に確実に渡すことがむずかしく、郵送することもある。科目数、学生数など考えると、eポートフォリオ上で提出漏れがアラート表示され、該当者も同時に視認し、メールで警告や注意も送ることができるという便利さは、画期的である。

生徒や学生のメリットである「履修している科目間、これまでの学期、そして自分自身の生活のつながりを考える」機能は、教職員側から見れば、学生のリフレクションを共有できることでもある。単に期限内に提出したかどうかだけではなく、教師からフィードバック、授業内プレゼンでの感想などがどのようにシェアされ、次に活かされていくか、提出後を観察することもできる。

学習側が、これまでのレポートや他科目の資料を利用するように、教師も各生徒や学生の学習評価において、それを参照することができる。同じ課題を提出した学習者全体の中で、位置付けを見て評価するだけではなく、時系列で個々の学習者の学習進捗度を把握することもできるのだ。

学習者全員を時系列で観察することによって、教師も授業の目標や授業進行計画に対するフィードバックを自ら把握することが可能になる。授業アンケートの数字やコメントを裏付けるデータを見ることができるとも言えるだろう。

学生の学びを点ではなく線・面で可視化

このように学習活動を、入学から卒業までを線でつなぐだけではない。4で説明した「学校の課題やプレゼンテーションから地域活動やグループ活動、旅行、ブログ、写真、ビデオなどすべてをそこに集める」eポートフォリオであれば、生徒や学生の学習活動や行動を、科目や学校の壁を取り除いて把握していくこともできる。

学習に加えて、興味や趣味、学外活動、アルバイト経験など広がりのある情報を、面としても可視化できるeポートフォリオは、就職指導での重要性も高い。

eポートフォリオは、このような流れの可視化に重点が置かれたツールだ。個々の学生がどんな学習活動をしてきたのか、それに向き合う姿勢も含めて可視化されるため、学生への働きかけや指導のあり方にも大いに役立つはずだ。

eポートフォリオを知ろう 6

教育者にとって、担当科目のeポートフォリオは、教育活動のeポートフォリオともなる。生徒や学生が提出したレポートや課題によって、自分の授業内容や配布資料などが適切であったかどうか、クラス全体の理解度は目標に達しているか、個人の理解度に問題はないかなど、多くの省察が可能だ。学習者と同様に時系列で考える、担当クラスが複数であればクラスを横断して比べるなど、紙ベースでは面倒なことが簡単にできる。

アメリカのSalt Lake Community Collegeは、eポートフォリオについてウェブ上で、ビデオ“What is an ePortfolio?”を公開する。学生だけではなく、eポートフォリオが教師にとってもメリットがあることが説明される。ビデオの中で、教師にとっての役割を、下図のように、学習者それぞれの課題や省察が、授業に対するフィードバックとして説明している。

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【大学eポートフォリオ説明サイト】Electronic Portfolios at SLCC
【ePortfolio Overview Video】What is an ePortfolio?

この記事のまとめ

学習者のメリットは、煩雑な業務を省くだけではなく、学習者のより深い評価手段、学習目標や授業計画などへのフィードバックとしても機能する。eポートフォリオは、生徒や学生の学習を時系列で線として可視化、同時に学外まで含む面として可視化できる可能性も持っている。

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